【地域フィールドワーク】地域に入り、リアルを知る。自分の視点で地域をとらえなおす
■ まちに出て“リアル”をつかむ一日が始まる
12月の澄んだ空気の中、いちき串木野ローカルチャレンジ塾の塾生たちは、防災センターに集合しフィールドワークをスタートしました。

【まちのリアルを知るチャンス!「楽しみ」とワクワクする塾生の皆さん】
「地域の未来のヒントは、まちの中にある」
という考えのもと、机上だけでは分からない地域の実態を現場で学ぶことが目的です。
今回の訪問先は、『白石酒造』、『MINOTE+』、『商店街』、『亀﨑染工』の4カ所。
このフィールドワークでは、地域で働く人々の声に直接触れ、現場の空気や温度を五感で感じることを重視し、産業や文化がどのように生まれ、どのような課題に直面しているのかを、自らの視点で確かめていきました。塾生たちは、ただ「見る」のではなく、地域を「読み解く」姿勢でこの日に臨んでいました。こうして、地域の現在地を捉え、未来を考えるための学びの旅が始まりました。
■Case01『環境が味を決める』——大手にはできない焼酎づくりへ

【案内人:白石酒造 白石貴史さん】
初めに訪れたのは『白石酒造』。
入り口には天狗の面がいくつも飾られ、訪れる人を独特の雰囲気で迎えます。

蔵に入ると麹の香りが広がり、焼酎づくりが地域の環境と深く結びついていることが伝わりました。「環境が味を決める」という白石さんの言葉の通り、気温や湿度、原料の状態を読み取りながら日々判断を重ねる姿勢が紹介されました。


【普段味わうことのない貴重な体験に興味津々の塾生】
白石さんからは「かつてはこの土地にない味に憧れたこともあった」という言葉もありましたが、現在は“この土地でつくる面白さ”を強く感じているといいます。風土が生む個性をどう引き出すかを追求し、小規模な蔵だからこそ可能な柔軟な仕込みや実験的な挑戦に取り組んでいることは非常に印象的でした。これは大手の大量生産にはできない価値であり、『白石酒造』の独自性ともいえます。

塾生たちは、一本の焼酎の背景には土地・環境・技術・挑戦心が重なっていることを学んでいました。

『白石酒造』について詳しくはこちら⇒https://x.gd/yky8d
■Case02 地域の暮らしに寄り添う——MINOTE+が生み出す新しい地域拠点

【案内人 ケントコーヒー 荒田健人さん】
『白石酒造』をあとにし、次に訪れたのは『MINOTE+』。

静かな田園風景の中にポツンとたたずむそこは、かつて空き店舗だった場所を改修して生まれた地域の拠点です。店内には地元の野菜や加工品が並び、普段は訪れた住民同士が自然に会話を交わす姿が見られます。運営を担うのは『ケントコーヒー』の荒田さんで、地域の買い物環境を支えるだけでなく、外部からの来訪者と地域をつなぐ“交流の場”として機能させています。

【まるで実家に帰ったよう。落ち着く空間で話を聞く塾生たち】
もともと『蓑手商店』という地域の商店だったが、経営が難しくなり建物ごと売りに出され、リノベーションしてオープンした『MINOTE+』。また、地元農家や事業者の委託販売など、地域内の循環を促す仕組みづくりにも取り組んでいます。日用品を購入できる場がなく街なかまで出ることが大変な住民にとって、『MINOTE+』は「暮らしに寄り添う拠点」として存在感を高めています。また、地域の未来における重要な役割を担っていることが分かりました。 地域の人口減少が進む中でも「どう地域に人を呼び込むか」が大きな課題という中で、「SNSの運用が大事」と語る荒田さん。SNSは来訪者増や地域認知に重要な役割を果たしているという学びを得た様子でした。

また一歩踏み出そうという塾生たちに、参考となるアドバイスをたくさんいただき塾生の背中を押していただきました。

『Minote+』について詳しくはこちら⇒https://www.instagram.com/minote_plus/
『ケントコーヒー』について詳しくはこちら⇒https://www.instagram.com/kent_coffee_/
■Case03 歩くから見えてくる未来——商店街に残る光と課題

続いてはかつていちき串木野市の中心地だった商店街を歩く塾生たち。
夕暮れが近づく商店街は、かつての賑わいを伝える建物や古い看板が残り、歴史の気配と静けさが同時に漂っていました。一方で、リノベーションされた店舗や、新しい挑戦を始めている姿も見え、地域に小さな変化が芽生えている場所があることも感じられました。
訪問した『発酵食Lab』では、担い手不足という現実が語られ、商店街が抱える人材面での課題が浮かび上がりました。

【商店街の課題をリアルに聞き込む塾生たち】
また、通り会の取り組みとして、冬のイルミネーションや夏の提灯飾りなど、住民主体で商店街を盛り上げようとする活動も紹介されました。しかし、空き店舗に問い合わせがあっても、空き物件の建物の多くが店舗兼住宅であることなど、様々な問題から賃貸活用が進みにくいという課題も明らかになりました。

歩くことで、表面の静けさだけでは見えなかった“未来の可能性”と“現実の壁”が浮かび上がり、商店街が持つ複雑な現在地を知る機会となりました。
『発酵食Lab』について詳しくはこちら⇒https://www.instagram.com/hakkolab/
■Case04 なくさないために変わる——亀﨑染工が見つけた未来のつくり方

【案内人 亀崎染工 亀﨑昌大さん】
塾生たちは商店街から最後の目的地『亀﨑染工』へ。
『亀﨑染工』は大漁旗や五月のぼりを手がけてきた歴史ある染物工房です。

【所狭しと展示されている迫力あるのぼりに圧倒されてしまいます】
歴史の深い『亀﨑染工』ではありますが、現在は造船所の減少や少子化などによる需要縮小が進み、技術継承が大きな課題となっています。亀﨑さんからは「何もしなければ技術は失われてしまう」という危機感が語られました。
その中で工房は、小売事業『亀染屋』を立ち上げ、オーダーメイド製品やオリジナル商品の制作に取り組むなど、伝統技術の新たな活用方法を模索してきました。また、作家や異業種の職人、バイヤーとの協働を進めることで、これまでにない表現や製品づくりにも挑戦しています。大量生産の市場に巻き込まれず、品質を維持できる価格帯を守りながら、技術の価値をしっかりと伝える姿勢も印象的でした。


【塾生からの質問にも真剣にお答えいただき、学びと気づきのきっかけとなりました】
訪問日はアートイベント「ash Design & Craft Fair 2025」の期間中で、型紙展示やコラボ作品を通じて、伝統と新しい感性が交わる場がつくられていました。『亀﨑染工』は、変化を恐れず挑戦することで、伝統を未来へつなぐ道を切り開いていることを塾生たちはその目で確認していました。

『亀﨑染工有限会社』について詳しくはこちら⇒https://www.kamesome.co.jp/
■ 現場に触れて見えた“地域の現在地”と未来への視点
一日のフィールドワークを終え、塾生たちは地域の現場に触れることの重要性を改めて実感しました。またどの訪問先にも、地域が抱える課題と可能性が複層的に存在していることが明らかになりました。

塾生からは、「現場を見たことで理解が深まった」「それぞれの取り組みが自分の活動にも置き換えられた」といった声が聞かれました。机上では得られない気づきが、対話や空気感、作り手の姿勢を通して生まれたことがうかがえます。今回のフィールドワークは、地域の“現在地”を正確に捉えるとともに、未来へどのように行動していくかを考えるための貴重な機会となりました。
