【第4回目講座】地域イベント企画の事例を学ぶ
2025年12月20日、第4回目の講座では、徳島県を拠点に地域づくりとイベント事業を手がける一般社団法人SMASH ACTION ファウンダー/理事長の藤川修誌氏を講師にお迎えしました。
西日本最大級の花火大会「にし阿波の花火」「さぬき花火浪漫」をはじめ、「花火競技大会ONLINE」や「AWAODORI CAMP」など、地域資源と文化を掛け合わせた企画を多数展開。徳島青年会議所理事長、阿波おどり実行委員会副実行委員長も歴任し、地域に根ざした活動を続けています。
今回の講座では、地域の想いを事業として形にし、人を巻き込みながら継続していくための考え方と実践のヒントを、具体事例を通じて伺いました。

■「できっこない」という言葉の先にあるもの
「前例がない」「それは無理だ」
地域で新しいことに挑戦しようとすると、必ず向けられる言葉です。
藤川氏が繰り返し伝えていたのは、前例がないこと自体が問題なのではなく、その言葉を理由に思考や行動を止めてしまうことこそが問題だという点でした。
誰もやったことがないから分からないのは当然であり、だからこそ、やってみることでしか見えない課題や可能性が生まれる。
事前に完璧な答えを用意するのではなく、実行と検証を重ねながら形にしていく。
「できない」という言葉は、挑戦の否定ではなく、まだ途中にあるということに過ぎない。
その捉え方こそが、地域で物事を前に進めるための出発点であることが語られました。

■ 続く取り組みに必要なのは、情熱と“設計”
藤川氏が強調していたのは、地域を動かす原動力は情熱でありつつ、継続には「設計」が欠かせないという点です。
社会課題への向き合い方や歴史・文化への敬意に加え、発信力と経済性の重要性が語られました。
「どれだけ良いことをしていても、知られなければ広がらない」
「経済性がなければ、次の挑戦はできない」
ここでいう経済性は利益追求ではなく、次の挑戦につなげるための基盤。
想いを一過性で終わらせず、共感を広げていくための前提として語られました。
その軸となるのが総合ビジョンであり、借り物ではなく自分の言葉で語り、ブレずに持ち続けることの重要性が示されました。


■ 行動が、地域の関係性を変えていく
新しい挑戦は、必ずしも歓迎から始まるわけではなく、藤川氏自身も「できるわけない」「人は来ない」といった反応に何度も向き合ってきたと言います。
鍵になるのは、対話と実績。丁寧に対話を重ね、実際の成果を示していくことで、周囲の受け止め方は少しずつ変わっていく。やがて「支える側」から「担う側」へと主体性が移り、地域そのものが動き始めるきっかけになっていく——そうした流れが、具体的なエピソードとともに共有されました。
また、どの地域や組織にも同じ思いを持つ人が必ずいる。その存在を見つけ、信頼関係を育てながら進めていくこと。思考を止めず、行動をやめない姿勢が共感を呼び込み、地域の力を引き出していく要素になることが、実体験を交えて語られていました。

■ 塾生の視点から見えてきた地域の姿
藤川氏の話を受けて、塾生それぞれが地域を見つめ直す気づきを共有しました。
多くの声に共通していたのは、
「地域には資源や魅力があるのに、活かしきれていない“もったいなさ”がある」という感覚です。
また、「一足飛びに変えるのではなく、毎年少しずつ積み上げていく」という考え方や、「情熱を言葉にして人を巻き込む」という姿勢が印象に残ったという声も聞かれました。
課題や不足を嘆くのではなく、地域の資源をどう活かし、どのように取り組みとして形にしていくか。
自分の地域の状況に重ねて考える時間となりました。

■ トークセッション:「続く地域プロジェクト」の設計
講座後半は、トークセッションを通じて、一般社団法人という組織形態の考え方から、意思決定や資金の考え方、協力者との関係づくりまで、取り組みを「続けていく」ための視点が共有されました。
藤川氏は、理念に共感する仲間と横並びで進めることの価値に触れながら、収益性が求められる領域では別の形も含めて使い分けるなど、目的に応じて仕組みを組み立てる視点を示しました。
また塾生からは、「行政や地域と向き合う際に意識していることは何か」「複数の事業が重なる中で、どう優先順位をつけているのか」といった質問も上がり、やり取りを通して、継続のために欠かせない“段取り”や“姿勢”がより具体的に言語化され、次の実践につながるヒントを得ることができました。


■ ワークショップで広がる気づき
少人数のグループに分かれて対話を行い、これまでの講座内容を踏まえながら、それぞれが感じたことや考えたことを共有しました。
「人の話を聞くことで考えが整理された」「視点が増え、発想が広がった」といった声が聞かれ、対話そのものが学びを深めるきっかけになっていたことがうかがえました。
講座を通じて得た刺激やつながりが、今後それぞれの取り組みを後押ししていくことが感じられる時間となりました。


■ クロージング「熱量と対話が育てるつながり」
「皆さんの熱量、すごく感じました」
講座の最後に藤川氏が口にしたのは、塾生一人ひとりの前向きさへの率直な実感でした。
短い時間の中でも、対話を重ねることで、共通する課題や可能性が少しずつ輪郭を持って共有されていく。そうしたプロセスそのものが、次の動きにつながっていく力になると示されました。
また、ここで築かれる関係性は、今すぐ形になるものだけでなく、将来それぞれが成長した先で再びつながり、何かを生み出していく土台にもなり得る——そんな見方も語られました。
年内最後の講座は、学びに加えて、講師の言葉と塾生同士の対話が重なり、それぞれの取り組みを前へ進めていく熱がいっそう強まる回となりました。

