【第4回】SNSを活かした地域資源や魅力の情報発信
2026年9月12日、「いちき串木野ローカルチャレンジ塾2026」第4回講座を開催しました。
今回のテーマは、「SNSを活かした地域資源や魅力の情報発信」。
講師には、株式会社ZEN マネージャーの板東志保さんをお迎えしました。
板東さんは、徳島を拠点にSNSマーケティングやメディア事業に取り組み、地域メディア「徳島グルメ」のディレクターとして、SNSを活用した情報発信に携わっています。
今回の講座では、板東さん自身がどのようにSNSを学び、現在の仕事につなげていったのか。その経験をたどりながら、地域やお店の魅力を届けるための考え方や、SNS発信の実践的なポイントについて学びました。
また、昨年度のローカルチャレンジ塾でSNS講座の講師を務めていただいた株式会社ZEN代表の大谷さんにもお越しいただき、後半のトークセッションや質疑応答に加わっていただきました。

■ SNSとの出会いは、大学生の頃
現在はSNS運用の最前線で活躍する板東さんですが、もともとSNSを専門的に学んでいたわけではありません。
大学生の頃、趣味でカフェを紹介するアカウントを運用していたことをきっかけに、SNSのアンバサダーに挑戦。そこから動画制作や情報発信について、本格的に学び始めました。
最初から動画を上手につくれたわけではなく、参考になる投稿を探し、実際に真似しながら試行錯誤を重ねていったといいます。
その中で制作したプリンを紹介する動画が12万回以上再生されるなど、少しずつ多くの人に届くようになっていきました。


■ まずは「真似する」ことから
SNSを学ぶ方法として板東さんが紹介したのが、伸びている投稿を研究すること。
どんな動画が見られているのか。
最初に何を見せているのか。
どんな画角で撮影しているのか。
どんな構成や言葉を使っているのか。
参考になる投稿を探し、「なぜこの投稿は見られているのか」を考えながら、自分でも実践してみる。
板東さん自身も、こうした積み重ねによって、撮影や編集だけでなく、企画や構成についても学んでいったといいます。
最初からオリジナルの方法を生み出そうとするのではなく、まずは成功している事例から学び、実際にやってみることが、SNSを学ぶ第一歩となります。


■ 「誰に届け、どう行動してほしいのか」
今回の講座で特に大切なポイントとして伝えられたのが、SNSは「投稿すること」や「再生回数を伸ばすこと」自体が目的ではないということです。
大切なのは、「誰に見てほしいのか」そして、「見た人に、どんな行動をしてほしいのか」を考えること。
飲食店の発信であれば、たくさん再生されるだけではなく、「行ってみたい」と思ってもらい、保存や実際の来店につなげることが重要です。
投稿をつくることをゴールにするのではなく、その先にいる人と、その人に起こしてほしい行動まで考えて発信することの大切さを学びました。


■ 地域の魅力を「人」を通して届ける
講座では、飲食店だけでなく、地域そのものをSNSで発信する事例も紹介されました。
株式会社ZENがSNS運用に携わる徳島県の木頭地域では、地域の風景や施設、グルメ、アクセスなどの情報に加えて、地域で暮らす「人」にも焦点を当てています。
人口約880人の地域で、移住者を増やすことや、地域の特産品である柚子を多くの人に知ってもらうことなどを目的に、ゼロからSNS運用をスタート。講座当時には約3か月で1.4万人のフォロワーにつながった事例が紹介されました。
中でも、ヨーロッパで約30年間暮らした後、木頭に移り住んだ映画監督へのインタビュー動画は60万回以上再生されました。
動画には「行ってみたい」「こんな地域があることを知らなかった」といった反応が寄せられ、地域を知ってもらうきっかけにつながったといいます。
景色や施設だけでなく、そこで暮らす人や、その人の物語を通して地域の魅力を伝える。
地域の情報発信を考えるうえでも、多くのヒントが詰まった事例となりました。


■ 塾生の発信を題材に考える
講座では、塾生が実際に取り組んでいるSNSについても話を聞きながら、それぞれの活動に合わせたアドバイスが行われました。
観光や地域の魅力を紹介する発信、活動への支援を呼びかけるアカウント、自身のサービスへの集客など、SNSを使う目的は人によってさまざまです。
参考になるアカウントをどう探すのか。
動画の最初に何を見せるのか。
自分自身が登場することで、どのように思いを伝えられるのか。
それぞれが自身の活動に置き換えながら、より具体的にSNS発信について考えていきました。
また、同じ投稿を見ても、人によって注目するポイントは異なります。
一人で考えるだけではなく、ほかの人と一緒に投稿を見て「なぜこの動画が気になったのか」を共有することも、発信を学ぶ一つの方法として紹介されました。


■ 続けるからこそ、見えてくるもの
後半は、株式会社ZEN代表の大谷さんにも加わっていただき、トークセッションと質疑応答を行いました。
板東さんが大学生の頃、SNSの仕事に関わるきっかけとなった挑戦について振り返りながら、「なぜ当時すぐに採用するのではなく、課題を設けたのか」という話題も。
大谷さんからは、SNSは方法を学び実践すれば数字を伸ばしていくことはできる一方、地道な作業を続けることが難しく、途中でやめてしまう人も多いという話がありました。
一つの動画だけで判断するのではなく、何本もつくりながら、
なぜ伸びなかったのか。
伸びた投稿と何が違ったのか。
を分析し、改善していく。
その過程を続けられるかどうかを見るための挑戦でもあったと語られました。


■ 学びを自分の活動に置き換えるグループワーク
講座の最後にはグループに分かれ、今回の講座で印象に残ったことや、自分の活動に取り入れてみたいことなどを共有しました。
SNSをすでに仕事や活動で活用している人、これから発信に力を入れていきたい人など、それぞれの立場から今回の学びを振り返りました。
誰に届けたいのかを改めて考えること。
投稿すること自体を目的にしないこと。
自分の思いや活動をどう伝えていくか考えること。
講座で得た気づきを、自分自身の活動やこれからの挑戦に置き換えて考える時間となりました。


■ 発信の先にある「行動」を考える
今回の講座を通して学んだのは、SNSで大切なのは、フォロワー数や再生回数だけではないということです。
誰に届けたいのか。
何を伝えたいのか。
そして、その人にどんな行動をしてほしいのか。
目的を考えたうえで、参考になる発信を研究し、まずは実践してみる。そして、その結果を振り返りながら改善を重ねていく。
板東さん自身も、大学生の頃から試行錯誤を重ね、数多くの動画制作を経験する中で、少しずつできることを増やしてきました。
地域には、まだ知られていない魅力や、届け方次第でより多くの人につながる可能性があります。
今回の講座は、SNSを単に「発信するためのツール」として捉えるのではなく、地域や自分たちの活動の魅力を必要な人へ届け、その先の行動につなげていくためにどう活用するかを考える機会となりました。

